買取とクーリング・オフについて分かりやすく解説します。
クーリング・オフは「強引に買わされた商品は返品できる」というイメージがあると思いますが、「物を売った時」に適用されるケースもあります。
買取のクーリング・オフは「出張買取(訪問購入)」です。出張買取は自分で予約して自分の意志で来てもらうのですが、そんな背景はお構いなしでクーリング・オフが適用されます。
クーリング・オフの方法は簡単です。「8日間以内にハガキを出す。キャンセルの理由も不要」です。高いお金を払って弁護士に依頼しても良いですが、まずは自分で試みるのが良いでしょう。
- クーリング・オフとは?
- クーリング・オフの書き方(やり方)
- クーリング・オフできない事例
今回の記事「買取に関するクーリング・オフ」について3つの要点を中心に解説します。
クーリング・オフとは
クーリング・オフとは、「悪い事業者から消費者を守る特定商取引法」で定められたルールです。ルールはいくつかありますが「8日以内であれば無条件に契約を解除できる」は知っている人も多いでしょう。
悪徳業者は言葉巧みに営業するので、「ちょっと頭冷やそうか?」という意味合いを込めて「クーリング・オフ」と名付けられました。政府機関としてはナイスなネーミングというか皮肉が効いますね。
クーリング・オフが有効な期間は8日以内となっています。すなわち「契約した曜日と同じ翌曜日」です。
クーリング・オフのやり方は後で詳しく解説しますが、「月曜日に契約したのなら、翌週の月曜日まで」が有効期限となります。
クーリング・オフの対象
次にクーリング・オフの対象になっているものを紹介します。
- 訪問販売
- 訪問購入(出張買取)
- 電話勧誘
- キャッチセールス
- マルチ商法(20日以内)
これらは全て「クーリング・オフの対象」とされています。他にも「エステサロン」や「結婚相手紹介サービス」など職種自体が対象になっているものもありますが、共通点は「トラブルが多い」ことです。
「マルチ商法」は別格で、20日以内までクーリング・オフ期間が設けられています。
そしてクーリング・オフを拒否したり、しないよう脅迫したり、妨害工作をした場合はクーリング・オフ期間が延長されるケースもあるので覚えておきましょう。
出張買取(訪問購入)のクーリング・オフ
「出張買取(訪問購入)」のクーリング・オフについて少し詳しく解説します。
着物や大型家電・家具など店頭に持ち込むのが困難な品物は「出張買取」を依頼する人が多いと思います。その場合、消費者(売る側)の意志で出張買取を依頼していますが、クーリング・オフが適用されます。
「自分で呼びつけて買取が成立しても、8日以内なら理由問わず一方的にキャンセルが可能」ということです。
ちょっと理不尽な気はしますが、訪問買取はトラブルを頻繁に起こしていた過去があるため、法律でガチガチに制限しています。
- アポなしの訪問購入は禁止
- 訪問した時に「事業者の氏名」を開示する
- 査定する予定の「品物名」を告げる
- 「わざわざ来たから売って」などの圧力禁止
- 「他に売りたい物はないか?」など勧誘禁止
- 嘘は禁止
- 隠し事も禁止
- 買取が成立したら明細や注意事項を「書面」で渡す
- 「書面」は小さい文字禁止
- 8日以内ならキャンセル可能と告知する←クーリング・オフ
出張買取には、「悪さをするのは不可能なのでは?」と思わせるガイドラインが用意されています。
この特定商取引法を違反すると「かなり厳しい罰則」があるため普通の業者はガイドラインを遵守していますが、「トラックの無料廃品回収」などイケイケな闇業者も存在します。
イケイケな闇業者は無敵状態で法律をガン無視するため、それはそれで別の注意が必要です。
クーリング・オフの書き方(やり方)
「クーリング・オフの書き方」は日本語的にちょっと間違った使い方ですが、検索する人が多いので意図を汲んで解説します。
クーリング・オフの方法は簡単です。期間内にハガキを出せば成立します。「消印が有効」なので8日以内に出せばOKです。
ポストに投函すれば基本的にはOKですが、「え?ハガキなんて来てないよ?」としらばっくれる業者もいるため、逃げられないように一手間くわえてあげます。
- ハガキを書く
- 両面コピーして手元に残す
- 郵便局の窓口で「特定記録」を利用する
※両面コピーしたハガキの通知は5年間ほど保管することが推奨されています。
また「特定記録」は郵便物の足跡を残すオプションで「+160円」かかりますがケチらず付けましょう。
「え?ハガキなんて来てないよ?」としらばっくれる業者に対して「○月×日に受け取ってるやないか!コピーも保存しとるぞ」と言い返せるので、業者は「ぐぬぬ」となるしかりません。
業者は業者で「クーリング・オフは電話で大丈夫です」と説明する業者もいるようですが、仮に本当に受け付けてくれるかもしれませんが、「言った言わない」「クーリング・オフ期間が過ぎていた過ぎてない」などトラブルの元になります。
クーリング・オフは「特定記録を付けたハガキ」で対応するように消費者庁も呼びかけています。
クーリング・オフが適用されない事例
最後にクーリング・オフが適用されそうだけど、実際は対象外な事例を紹介します。
店舗契約はクーリング・オフが無効
クーリング・オフは8日以内なら無条件で契約を無効にできる強烈な規定ですが、「店舗で契約」をしてしまうとクーリング・オフが適用されません。
「自分の足で店頭に行く」という行為は、不意打ちでもなく「既に冷静だよね?」とみなされるためクーリング・オフ適用外です。
しかし例外的に店舗で手続きを行った場合でも例外的にクーリング・オフが適用されるケースもあるようなので、「ちょっと諦めきれない」と言う人は消費者センターに駆け込んでみて下さい。
また多くの人が誤解されがちですが、「通信販売」もクーリング・オフが適用されません。しかし似たような「法定解除制度」があるので、通販でキャンセルしたい人はそちらを利用しましょう。
クーリング・オフは事業者vs個人
クーリング・オフは「事業者vs個人」が対象なので、例えばメルカリやジモティーなど「個人と個人の取引」はクーリング・オフ適用外です。
個人間取引は買取業者より高値になるケースが多いためよく比較されますが、「特定商取引法」というバリヤーがないため無法地帯と化しています。十分過ぎるほど慎重に利用しましょう。
出張買取(訪問購入)のクーリング・オフまとめ
出張買取におけるクーリング・オフについてをまとめます。
クーリング・オフは悪徳業者から消費者を守る「特定商取引法」のルールの一つです。
出張買取(訪問購入)で売買が成立した場合は「8日以内なら無条件で契約をキャンセルできる」ものです。
クーリング・オフで契約を無効化する際は電話や口頭ではなく「ハガキ」を使って下さい。コピーしたり「特定記録」を使う手間はありますが、弁護士に依頼するほどではありません。
ここまでクーリング・オフについて散々書きましたが、近年の大手買取店はちゃんとしています。「特定商取引法」を違反すると厳しい罰則があり、最悪なパターンは事業停止まであるからです。
今回の記事は「万が一」に備えて覚えておきましょう。
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